【濃厚レビュー】大冒険をよろしく/DIALOGUE+ #ダイアローグ #ドリーミーローグ

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目次

楽曲情報

「大冒険をよろしく」
アーティスト : DIALOGUE+
Words & Music:田淵智也
Arrangement & Sound Direction:堀江晶太
Guitar:堀崎翔
Bass:田淵智也
Drums:裕木レオン
Piano:伊賀拓郎
Sax & Brass Arrangement:本間将人
Trumpet:ルイス バジェ
Trombone:榎本裕介
Programming:堀江晶太
Vocal Direction:田淵智也
Recording Engineer:藤浪潤一郎・青木礼門(SoundCity)・中山太陽(SoundCity)
Mixing Engineer:藤浪潤一郎
Recording & Mixing Studio:PONY CANYON代々木Studio・元麻布スタジオ

以下のレビューを読まれる前に、一度楽曲を聴かれると、より楽しく読んでいただけると思います

こんなにメロディー(作曲)とアレンジ(編曲)がタッグを組んだ曲があっていいんだ

まずは、質問です。

皆さんは「大冒険をよろしく」ほどステキに、メロディーと伴奏が吸い付くように組み合わさった曲を聴いたことがありますか?

筆者が、この曲を初めて聴いたときの感想は「メロディーと伴奏がこんなにキレイにマリアージュすることってあるんだ」ということです。

2月の夜遅くにTwitterにUPされた直撮りの動画を初めて観たときの衝撃を忘れられません。

こんなにいい曲があるんだ、という喜びを通り越して、素晴らしすぎて嫉妬と怒りさえ感じるような、革命的な一曲でした。

↑この動画を音声だけ抽出して、先日のフル尺公開まで何度も聴きました

ただ、この曲をメロディーと伴奏で分離して自分なりの脳内アレンジで聴こうとした際、どうしてもそれができない。

どうしても、この伴奏が浮かんでくる。歌おうとすると、ベースラインも口ずさんでしまう。こんな経験は初めてです。

↑Twitterにメロディーだけの採譜があったため、リンクを掲載します。皆さんも、あの伴奏が浮かび上がるに違いありません。

メロディー(作曲)だけでは成立しないし、もちろんアレンジ(編曲)だけでは成立しない。

例えば「最強といたします!」という部分ですべての楽器が同じリズムを刻む瞬間。すべてのパートでメロディーを引き立たせようとする意地を感じますし、メロディーに追従させた楽器のフレーズが数多くで散見されます。

ひとつひとつの小節間を跨いで、メロディーを畳みかけるように詰め込んでいく”田淵節”が強めに出されている、この楽曲。

譜割りの性質としては、一つの音符に一つのことばを詰めることが多い田淵さんと、一つの音符に複数のことばを詰め込む堀江氏の間には違いはありますが、どちらも限られたスペースの間に言葉を詰め込んでいくという作風には変わりありません。(詳しく言えば、同じドの音符でも、「あ」という言葉を詰めるのが前者で、「あい」という言葉を詰めるのが後者。後者は洋楽的なニュアンスが強くなりますし、ある程度歌いづらくても大丈夫なボカロを使ってメロディーを作られてきた堀江氏特有なものがあります)

作風が似ているからこそ、ここまで相性がいいのであり、多くのファンから「田淵と堀江がタッグを組んでいたら間違いない」といわれるのであると考えます。

2010年代のアニソンのフラグシップといわれ続ける「Rising Hope」をはじめ、数多くの作品を世に送り出した二人だからこその信頼関係がある。

生産者さんの顔が思い浮かぶ楽曲なのであります。

そもそも、ここまで暴れまわる楽しいメロディーを受け取ったとき、どう思ったんだろうと思いますね…(どうアレンジすればいいのかな、という面で)

だからこそ、「大冒険をよろしく(アコースティックアレンジ)」や「大冒険をよろしく(ピアノ弾き語り)」が生まれる可能性はあるが、この曲はどう考えても、このバンド編成ではないと「ハナマル」にはならないんじゃないか…と思った次第です。

ポジティブを極め続けた一曲

むむぅ、先行きなんて見えない

見えないならチャンスじゃん

パンドラの箱をノックして “あやふやな未来”を取り出して

そこに”私たち”を×(かけ)て=(すなわち)

“最強”と致します!

これは「大冒険をよろしく」の歌詞の一部、筆者が特に好きな部分です。ほかにもアウトロ終わり「今を派手に生きたい!」というところも大好きです。

私たちは、「あやふやな未来」と合わせると最強な存在に、いつの日かなれるのでしょうか?筆者は、なりたいです。なりたい。

まさにこの記事を書いている今、ご時世的に「あやふやな未来」を生きているわけですが、それを言い訳に後回しにしたり、泣き言言ったり、当たり散らかしている人ってたくさんだと思います。

ぜひ、一度、CDが発売されたら、ブックレットを読みながら、歌詞を一度朗読してみてください。いかにこの曲が「今を明るく生きてやるんだ!」という強い意志を描かれているかわかると思います。

一度聴いていただければ「あぁ、こんなにポジティブな曲、あっていいんだ…」という多幸感に襲われること間違いなしでしょう。

「はじめてのかくめい!」を絶賛されたことでもおなじみの、大人気コンポーザーのkzさんも、Twitterでこう述べられています。

その「はじめてのかくめい!」なんですが、DIALOGUE+はデビュー曲で「はじめてのかくめい!」という曲をリリースされていますが、こちらもポジティブの塊なのです。推測ですが、大冒険をよろしく のリファレンスは「はじめてのかくめい!」ではないか、この楽曲の系譜を継ぐ曲を目指して作られたのではないかと思っています。

Words & Music:田淵智也
Arrangement & Sound Direction:田中秀和(MONACA)
Guitar:堀崎 翔
Bass:田淵智也
Drums:山内”masshoi”優
Piano:伊賀拓郎
Programming:田中秀和(MONACA)
Production Coordinate:みすみゆり(MONACA)
Vocal Direction:田淵智也
Recording Engineer:白井康裕・黒田かおり
Mixing Engineer:白井康裕
Recording & Mixing Studio:PONY CANYON 渋谷Studio・サウンド・シティ

どちらの曲にも共通しているのが「もちろん辛くて諦めたいこともあるけど、この世界は最高だ」という限りない希望に満ち溢れた世界。

叶わないことや、不条理で嫌なことも味わってきたけど、それでも純粋で素直で生きていこうとする前向きな意思をひしひしと感じる、とてもいい世界観に基づいた楽曲なのであります。

そんな歌詞の世界をより色鮮やかにするように、数々のフレーズがを生み出していきます。そんなカラフルなサウンドを紐解いていきましょう。

大冒険を加速する 数々のサウンド

この楽曲では、ブラスの音色がキーとなっています。

堀江氏の楽曲でブラスが入った楽曲というのはかなり数少なく、とても珍しいのですが、最近のブラス入り堀江曲に「パパパ」という楽曲があります。

↑いつ見ても、MVの秀逸さには驚かされます。かわいすぎるでしょ…

堀江氏の四つ打ちの変化形といえる独特かつノリやすいリズムパターンと、明快で前に進もうとするブラスの明るさはとても相性がいいです。

ほかにも、ブラスを多用した堀江曲には「タイムマシンと入道雲(KEMU VOXX)」「イエロー・サンシャイン(金元寿子)」「ピースフルデイズ♪(キュアピース)」があります。

ぜひ一度聴かれてみてください。

「大冒険をよろしく」においては、ブラスアレンジを Little Glee Monsterやスキマスイッチのサポートをされている、サックスのスペシャリストである 本間将人さんという方が担当されています。

だからこそ、より一層、本格的で聴きごたえのある、飽きの来ないサウンドを楽しむことができます。

(このレコーディング前日は九州でスキマスイッチだったみたいです。多忙……)

ブラス関係は打ち込みで終わらせることがかなり多いですが、そんな中、サウンドや制作環境にこだわり尽くしたDIALOGUE+スタッフはやってくれました。

本間将人さんだけでなく、キューバからやって来た新進気鋭のトランぺッター、ルイス・バジェさんや、様々なビッグバンドで活躍されている榎本裕介さんといった、プロフェッショナルが次々に演奏されているため、聴きごたえがあります。

ちなみに、本間さんとルイス・バジェさんは「マリオカート8(DX)」のBGMのレコーディングにも参加されています。

ブラスの特に好きなところは、アウトロの「今を派手に生きたい!」の前の上昇するフレーズです!ここまでかってくらい高めてくれる、最高の一瞬です。

だからといって、ブラスに持っていかれているわけではないのがこの楽曲のアレンジの凄いところです。

各所できらびやかに彩られる、ピアノの音色にうっとりした方も少なくはないのではないでしょうか?

「私に天使が舞い降りた!」の劇伴をはじめ、高嶋ちさ子さんなどのサポートを務める人気ピアニスト 伊賀拓郎さんによって、彩られています。最近はMONACAが制作した楽曲のレコーディングも多くされています。DIALOGUE+デビューシングル「はじめてのかくめい!」も伊賀さんのピアノです。

↑イラストがとても上手で味があることでも、有名です

各所で上品かつ大胆に奏でられる旋律は、暴れまわる楽器陣をうまくまとめ上げる役割を果たしています。また、この楽曲のピアノの最大の役割は「堀江曲らしさ」を最大限に引き出すことです。

「大冒険をよろしく」の感想で、ピアノのフレーズが堀江氏らしいという声をよく目にします。堀江氏のピアノの使い方として、ピアノ単体で和音を奏でるのではなく、ベース・ギターなどと合わせて一つの和音を奏でるという手法です。独特な使い方だからこそ「らしさ」を感じます。

ほかにも、Bメロのアルペジオ的なフレーズで「らしい」と思われた方も多いのではないでしょうか?

何より、伊賀拓郎さんならではのキラキラとした音色がたまりません。宝石のような音色が、この楽曲の前向きな雰囲気をさらに加速させていくのです。

次はドラムの話をします。

ドラムは、まふまふさんやあんさんぶるスターズ!のサポートなどで、最近人気急上昇中の裕木レオンさんが担当されています。

↑右端のイカした方が裕木レオンさん。イカしたポーズから垣間見える腕の筋肉、カッコいい…♡

そんなイカした裕木レオンさんのドラムがイカしていると、とにかく話題なのであります。

今作のドラムの特徴として「さわやかな顔でエグいフレーズを演奏されている」というものがあります。

テンポが変わったり、フレーズもコロコロ変わる。後述しますが、リズム隊のベースは「ギターのリフ?」というくらい動き回る。そんな中で、正確かつ軽妙な音色で奏でられています。

特にイントロのドラムに注目されてください。ブラスを下支えするドラムロールから始まり、イントロからAメロにドミノのようにつながり、休符へとコネクトする。

この動きはまさに伝統芸能の域であり、何度でも聴きたくなること間違いない!まさに「目まぐるっぱ」なドラムなのです。

また、ギターは あの人気ギタリストの堀崎翔さんが担当されています。

堀崎翔さんは「UNION!!」のギターなど、多くの堀江曲に参加されているだけでなく、AKB48・嵐・sexy zoneなどの御茶の間人気楽曲のレコーディングにも参加されているので、ほぼ全ての日本人が堀崎翔さんのロケンロなギターサウンドに心酔しているといって過言ではありません。

今回のギターサウンドは、どちらかというと下支えに注力しているように感じました。もちろん、世間一般の曲と比較したら暴れまわっているに違いありませんが…

堀崎さんの安定感のあるロケンロなフレーズのおかげで不安定なくらい暴れまわるメロディーや楽器陣のなかでも、一定の安心感をもって聴くことができます。

激しい堀崎ギターファンの方もご安心ください!間奏のチョーキングは、堀崎翔さんがホリショウである所以。実家のような安心感を感じられます。

また、今回の楽曲は、堀江氏が一部の打ち込みサウンドくらいしか演奏されていないという、異例中の異例の作品となっています。

ギター・べース・ピアノ、さらにはドラムも演奏できるマルチプレイヤーの堀江氏が任せたというのには、何らかの意図・メッセージがあると思います。

推測ですが、極上のサウンドを追求しようとした結果、すべて一流のプロフェッショナルが集めることになった、この方が面白いと思われたのかと感じます。

前述のとおり、ギターとべースは自身で演奏することがかなり多いので、果たして堀江曲らしさは残るのだろうか?という不安はありましたが、杞憂どころか、堀江氏のアレンジの個性を生かしながら、各演奏者の個性もふんだんにとりこまれています。

現に、こんなに語ってもまだ語りつくせないくらいの個性があります。

余談にはなりますが、「地下鉄ラビリンス」という楽曲に似た雰囲気という声も多く上がっています。「何やってんだ広川」「広川恵一は素敵だ」でおなじみ広川恵一さん作編曲です。DREAMY-LOGUE収録の「ぼくらは素敵だ」のアレンジも担当されています。

試しに聴いてみたら、とても良い曲だったので皆さんもぜひ聴かれてみてください(みんな大好きWUGちゃんの曲なので、聴いていない不届き者は私だけだと思いますが…許してください)(副管理人はWUG_SSAで生回収しましたが……)(副管理人が好きな広川恵一楽曲は「僕らのフロンティア」です。)

ベースラインが大冒険しまくっている件について

この曲でとにかく特筆すべきなのは「動き回るベースライン」であることは自明であります。

堀江氏がアレンジした楽曲であれば、一般的にPENGUIN RESEARCHのベーシストである堀江氏がベースを弾くことが多いです。
実際に、数字が証明しています。

昨年リリースされた楽曲53曲(フルで音源化されたもの)のうち、堀江氏が編曲した楽曲で他のクリエイターさんがベースを演奏された楽曲は斉藤朱夏さん「パパパ」「あと1メートル」、神崎エルザ starring ReoNa「葬送の儀」の3曲のみ。
ちなみに斉藤朱夏さんの楽曲の演奏は高間有一さんであり、2020年にリリースされた「お前が求める私なんか全部壊してやる – 阿部真央(編曲:堀江晶太)」も高間さんです。

「大冒険をよろしく」では、前述のとおり、田淵智也さんがベースを演奏されています。

田淵智也さんが堀江氏の編曲楽曲を演奏されたのは「Come on, A-Z!!(before the CUE)/田所あずさ」以来 約4年ぶりのことです。

ベースというのは、基本的にはリズム隊と言って、楽曲の動きを大黒柱として支える役割を持つんですが、この楽曲ではめちゃくちゃ動きます

(過去記事の宣伝になりますが、堀江氏のベースに関するトークショーの記事をご紹介します これを読むことで、ベースに関してどのように考えられているのか少しわかると思います。)

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【Report】1/25 島村楽器×L’s TRUST 『Bass Meeting』 1/18開催「島村楽器×L's TRUST 『Bass Meeting』」に参加した際のレポートを掲載させていただきます。 また、当サイトでは堀江氏のベースやDTM機材に照準を充てた記事を...

普段「ベースってどういう役割かよくわかんないよぉ…」ってなっている方でも絶対わかるくらい目立っています。

メロディーラインと同じくらい動くし、それ以上に動く。なんでこんなに動くの?ってくらい動く。しかもかなり高めのポジションまで動きます。

メロディーがとてもせわしないからこそ、それに負けないくらい動いてあげないと勢いで負けてしまう。メロディーに張り合おうとする、ベースなのです。

特筆すべきは、2番サビ入りのスラップです。2019年にリリースされた「オリオンをなぞる(LiSA Ver)」で「サビ入りスラッパー」として脚光を浴びた堀江氏が、もっとクレイジーなことを仕掛けてきました。

(↑オリオンをなぞる(LiSA Ver)は個別の配信がないため、アルバムごと購入するのをオススメします)

「オリなぞスラップ」をはるかに超える短いスペースですさまじいフレーズを埋め込む。やってくれました。

オタクが好きなのは、サビ前のスラップ。わかってるとしか言いようがありません。

このスラップに続く「ヴゥン」とうなる、馬力の強いエンジンのようなギターの音色が、2番サビへのギアを急加速させていきます。MVでバスが発進しているのとすっごくマッチしています!

ちなみになんですが、「オリなぞスラップ」を含め、オリオンをなぞる(LiSA Ver)のベースは堀江氏が演奏されていますが、実は「オリなぞスラップ」を田淵智也さんが演奏されたことをあるのをご存知でしょうか?

8月28日・29日に開催された「Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Live~」では、前述のトリビュートアルバムを元にライブが行われたのですが、そこで披露されたUSG×LiSAの「オリオンをなぞる」にて田淵智也さんが「オリなぞスラップ」をガッツリ演奏されたのです。(副管理人は当日観ていたのですが、堀江さんのピアノの同期音源に合わせてUNISON SQUARE GARDENが演奏しLiSAさんが歌うというこれ以上無い贅沢に感動していました。)

「サビ前のベースのスラップで繋がる縁」これほど尊い(てえてえ)ものはありません。ほりたぶてえてえ。

ベースの音色なんですが、堀江氏の重心低めのサウンドとは異なり、UNISON SQUARE GARDEN感が溢れる、軽めかつちょっと固めのサウンド。指弾きのニュアンスがよく伝わってくる音作りが特徴的です。

堀江氏のベースがぬれ煎餅なら、田淵智也さんのベースはポテトチップス。どちらもおいしいですよね。

 

ここからは各セクション毎の解説をしていきたいと思います。

https://twitter.com/DIALOGUE_staff/status/1198862035016015872

こちらの動画はアレンジ段階のデモだと思います。ベースが田淵さんっぽいのですが、どのようなやり取りで制作したのかはわかりません。

Aメロでスカダンスをしている通り、「スカ」というジャンルの手法が用いられています(ズチャズチャという裏拍の強調が特徴的なリズム)。

これを聴いてノれない人はこの記事を見ている人にはいないでしょう。ちなみに1991年に発売された西城秀樹さんの「走れ正直者(ちびまる子ちゃん2代目エンディング)」が日本で初めて流行ったスカを取り入れた楽曲と言われています。

Aメロ5~8小節目では5+3+3+3+2拍子っぽくなります。この部分でびっくりした方も多いのではないでしょうか、田淵さんはよく一部分で複雑な拍子やリズムを使われることも多く「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」「春が来てぼくら」などでこの傾向が見られます。

BメロではAメロとは打って変わってPPPH(パン、パパンフー)のリズムになります。また、後半ではIImから上昇していくコードが用いられています。IIm IIIm IV Vという進行はポップスでは常套句でありサビへの期待を感じさせることができます。

が!ここで単調にいかないのが田淵流、「最強、といたし」の部分でVI♭という不安定なコードを用い、「ます」の部分で安定したコードにつなげることで我々リスナーの心を揺さぶってくるのです。

サビの頭4小節は対象的に真っ直ぐな進行を用いていますが、Bメロの””揺さぶり””によってサビのキャッチーさが際立つ形となっています。キャッチー・王道なサビの場合、Bメロはマイナーだったりひねくれていた方が印象に残りやすくなると思います。「WILD BLUE」はその手法が用いられていますね。

ピアノのアルペジオや鉄琴の音が鳴っていたり、これでもかというくらい可愛い要素も詰まっています。

サビが終わり間奏を経て2番Aメロ、一気にテンポが落ちます。ここで僕のフォロワーの田淵オタクは全員気付きました。

『これ、「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」では…??』

(「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」とは?)

作詞作曲:田淵智也 編曲:小林康太やしきん(F.M.F) による「ガールフレンド(仮)」キャラクターソング。田淵ファンのアンセムとなっており、「アニソン派!」で流れた際にはイントロのシンバルだけで絶叫が発生し「DIALOGUE+JAM」で披露された際には熱い抱擁が交わされる程の人気楽曲となっている。配信が無いので聴くにはCDを買うしかありませんが、聴く価値は大いにあります!

「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」の2番Aメロでもテンポが落ち、後半で加速します。まさかのセルフオマージュ…??ここも、体感速度の対比で加速してからの””高まり””を生み出しています。MVを見ると、2番Aメロの終わりの部分でなにやらMV撮影と同時期にグアムにebaさんと遊びに行っていた作曲家のおじさんがいるような気がしますが、気の所為ということにしておきましょう。

Bメロは1番と違いセリフっぽくなっている部分もあり、声優である強みが生かされています。「ははーん」可愛いな

2番サビ、最後のきょんちゃんの「嘘~~!!」が超可愛い、これに尽きます。本当に。(副管理人は守屋亨香さんのことが大好き)

間奏を経てラスサビがあるんですが、その後に大サビ(今までのサビになかったメロディがサビとなる)があります。大サビがある曲が悪い曲だったことありますか?こんなんライブの終盤で歌われたら「大トゥルエン」ですよ。

最後にセリフで締めるのもDIALOGUE+が歌う意味のある楽曲だなと感じさせられます。

やっぱり藤浪潤一郎は神

「ダイアローグ+インビテーション!」に引き続き、エンジニアには藤浪潤一郎さんが携わっております。

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(↑宣伝なのですが、ダイアローグ+インビテーション!の際もレビュー記事を書いています)

エンジニアに着目して楽曲を楽しむ人はとても少ないので、今回は皆さんに人になっていただきたく、藤浪潤一郎さんのすごいエンジニアを幾つかの曲を通して楽しんでいただきます。
(変人は、たくさん増えたら変人ではなくなるので)

映画的な音圧で圧倒する ラストフレーズ/しまさか(from 浦島坂田船)

作詞:堀江晶太・となりの坂田。・志麻
作曲:堀江晶太
編曲:堀江晶太

「映画特有の音圧」ってありますよね。一番分かりやすい例としたら、映画館の上映前の告知CMでよくある「全世界待望(ドン!)」のドンや、YouTubeの広告でかなりの頻度で流れるネットフリックスのCMのアレです。

その特有の圧倒されるような音圧や感覚を、うまく邦楽の歌ものに組み込んだのがこの曲のエンジニアリングです。

それでいて、ベースやギターの細かな仕草が鮮明に表現されている。「圧倒」と「繊細」を両立させるエンジニアリング、それこそが藤浪潤一郎さんが成せる技なのです。

リズミカルな感覚をより強調させる音作り ベイビー・メイビー/めいちゃん

作詞:ナナホシ管弦楽団
作編曲:岩見 陸

楽器の数は少なめのこの楽曲ですが、藤浪潤一郎さんらしさ溢れるエンジニアリングとなっています。

実際、筆者はSpotifyでこの曲をたまたま見つけて聴いて1秒で「絶対、MIXは藤浪さんだ」と確信しました。

藤浪さんのMIXの特徴として、リズム隊とウワモノがうまく分離されていることがあげられます。そのため、ノリやすい。ベースの動きにノってノリノリになれる。

大冒険をよろしく は藤浪潤一郎らしさフルスロットル

イントロからフルスロットルで圧倒的な音圧で畳みかけながら、ワイワイガヤガヤした暴れまわる楽器陣をかき回しながらも、キレイに分離させる妙技。
しかも、それぞれの楽器の見せ場を完璧に理解し、何度聴いても楽しむことができる。

楽器数・手数が圧倒的に多い堀江氏の楽曲には、藤浪潤一郎氏のエンジニアリングは最高にマッチします。

ちなみに、DIALOGUE+公式さんが どこかの作曲家のファンサイトがパロディさせていただいたサムネイルを参考にしていただいたような画像によって、初めて藤浪潤一郎さんのお姿が公開されました。

エンジニアのお姿が公開されて喜んだ人間は、世界中探しても自分だけだという、怪しい自信があります。

藤浪潤一郎さんに関して話している人間、当サイトのスタッフとANCHOR速報しか見かけないのですが…(作曲家のANCHORさんと堀江氏、藤浪氏は親交があり、3人で箱根旅行に行かれた際は大きな話題となりました。)

藤浪潤一郎さんは必ず、今後のアニソンシーンで語られることが多くなる人物であることは間違いありません!

DIALOGUE+の取り組みが 今後のアニソンシーンのスタンダードになってほしい

2020年4月8日にリリースされる、DIALOGUE+の1stアルバム「DREAMY-LOGUE」は、全曲田淵智也さんプロデュースに加え、そうそうたる制作陣が集まっています。

大冒険をよろしく
作詞・作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:堀江晶太

好きだよ、好き。
作詞・作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:佐藤純一(fhána)

トーク!トーク!トーク!
作詞:大胡田なつき(パスピエ)
作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:中山真斗(F.M.F)

Domestic Force!!
作詞:津野米咲(赤い公園)
作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:eba(F.M.F)

パジャマdeパーティー
作詞:三森すずこ
作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:園田健太郎

ぼくらは素敵だ
作詞・作曲:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
編曲:広川恵一(MONACA)

このサイトをご覧になられている皆さんは、おそらく堀江晶太さんのファンだと思われますが、「大冒険をよろしく」だけではなく、ほかの曲もぜひ試聴してみてください。

一曲一曲、こだわり抜かれて制作されていることがわかると思います。

特に「Domestic Force!!」は2020年の流行になると言われているFuture Bassを基調として、サビではドロップをうまく生かしている、まさに流行の最先端の一曲です。

全6曲。笑いあり、涙ありの名盤になることは違いありません。現在、Amazon他にて予約受付中!

created by Rinker
ポニーキャニオン

また、DIALOGUE+の取り組みとして、公式Twitterの掲載されている情報が作家・クリエイターをとても大切にしている点が挙げられます。

おじさんの写真を掲載して、さらに200以上のRTを獲得している声優ユニット、あっていいわけないだろ!という思いと同時に、DIALOGUE+からアニソンの聴き方やかかわり方が大きく変わっていくのではないか?という期待感があります。

ご存知の方は多いかと思いますが、田淵智也さんは昨年「アニソン派!Project」を立ち上げ、オールナイトトークセッションをはじめ、そこでキュレーションされた楽曲をもとにメンバーが良いアニソンを歌唱する「DIALOGUE+ JAM」を開催されています。

筆者はそのオールナイトトークセッション「アニソン派!」には毎回参加させて頂いています。ちなみに、九州在住なので、毎回けっこうな負担がかかるわけですが、終わった後はそんなことを忘れるくらい素晴らしいです。ちなみに、過去二回とも、堀江氏にまつわるエピソードが離されています。

特に当サイトのニッチな話が好きな方にはたまらないと思うので、次回開催時は皆さん参加されることをオススメします。

アニソンや、それに付随するサブカルチャーコンテンツの楽曲というものは、そのコンテンツが終わったら聴かれなくなることが多い、だれが作ったか分からないまま記憶から失われているということが数多くありました。その流れに終止符を打つべく立ち上がった田淵智也さんの熱い思いに応えるかのように、DIALOGUE+は活動されています。

まず、全曲試聴の段階からスタッフリストを全部公開するといった取り組み。通常は、CDに掲載されるものです。最悪、何も記載されていないこともあります(もちろん、制作側の意図があって記載されない分にはいいと思いますが…)

もちろん、ピンとこないリスナーも現段階では大多数だと思います。それでも名前を見えるところに残すことが大切なことなのです。

もし誰かが「この曲のギターの音色がいいな」と思って、プレイヤーにたどり着くことができたとしたら、そこから新たな音楽に出会えたり、プレイヤーをフューチャーしてプレイリストを組んで、何度も聴いたりすれば、その楽曲はいつまでも聴かれ続かれるわけです。

DIALOGUE+のレーベルのポニーキャニオンさんのCDは、以前からプレイヤーの表記がされています。とてもファンとして、うれしいです。

ポニーキャニオンさん、いつもありがとうございます!!!!!!!!

堀江晶太さんと田淵智也さんに花マルあげたいっ!

「Rising Hope」から始まり、数多くの楽曲を経て「大冒険をよろしく」にたどり着いた「ほりたぶ」のお二人。

Fメジャーで展開される、明るくポジティブな楽曲でありながらも、ここまで辿り着くまでの様々な楽曲を思い出すと、感動です。

「様々な困難に負けず、立ち止まらずに飛ばしていこう!」というポジティブな意思が歌詞だけでなく、楽曲にも詰まった名曲です。

というわけで、田淵智也さんと堀江氏の共作楽曲を一覧で掲載させていただきます。もし気になる楽曲がございましたら「オリオンをなぞる(Cover)」と「Rise Sunshine」以外はサブスクで聞けますので、ぜひ検索してみてください。

DIALOGUE+のみなさん、ポニーキャニオンのスタッフの皆さん、エンジニア・プレイヤーの皆さんはもちろんですが、まずは、堀江晶太さんと田淵智也さんに「ハナマル」をあげたいと思います。

このような素晴らしい楽曲を生み出していただき、本当にありがとうございました!

 

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